小説

「ほのおタイプ?」

アーヤスリーグ優勝を目指すため・・・そして、自分たちの日常を取り戻すため旅を続けるこなた達は長い森を抜けこなたにとって最初のジムがあるゴートゥシティへと来ていた。

途中知り合ったゴートゥシティジムリーダー”ムラコ”にこなたはここのジムが炎タイプのジムだという事を町のポケモンセンターで聞いていた。

「私、今日レディバをゲットしたんですが・・・?」

「うん・・・私も思ったけどまぁ気にすんな!岩タイプのジムじゃないだけマシと思ってくれ。」

「そうそう・・・!!ポケモン相性だけが全てじゃない!!」

ムラコと同じく森で出会ったどこかの町のジムリーダーのタカミナが後ろからコーヒーをすすりながら話に入って来た。

お風呂にでも入ってたのかさっきまで束ねていた長い後ろ髪を今は下している。

「でも、やっぱりこの地方のジムもタイプ別のジムなんですね?前のジムに行ったときはタイプがごっちゃだったから、そんなの関係ないと思ってましたよ?」

確かに前回かがみと戦ったユリシはエスパー、ノーマル、岩と実に統一性のないポケモンばかりだった・・・。

まぁもともと3匹しかいなかったかがみにとって特にタイプを知っていても選べるポケモンもいなかったが・・・。

「前のってこなたは一度どこかのジムに挑戦したのか?そのレディバをゲットする前は2匹しかいなかったんだろ?この辺で2匹でバトルをしてくれるのはなかったと思うが?」

ムラコは思い当たるジムを頭の中で巡らせながら、こなたに質問をぶつけてきた。

「あぁ・・・前のジムに挑戦したのはかがみんですよ?」

そう言い、こなたはかがみの方を振り向いた。

「へぇお姉ちゃんバッジ持ってるんだ?」

感心と尊敬の眼差しで見るつかさ。

そんな妹の視線につい照れてしまうかがみ。

そして、つかさの「見せて見せて」の言葉に若干照れからか躊躇しながら鞄に付けていたコスモバッジをつかさに見せた。

「わぁ・・・奇麗・・・お姉ちゃんこんなの貰っていいなぁ。」

バッジを少し慎重に手に取りマジマジと見つめるつかさ。

その横でタカミナがバッジを見ながら何かを納得したように「あぁ」と息を漏らした。

「なにが”あぁ”なんですか?」

自分のバッジを見てなにやら勝手に納得しているタカミナにかがみは多少怪訝な態度を見せる。

そんなかがみの表情を察したのかタカミナは軽く謝ると、先ほどの意をかがみに説明した。

「いや・・・さっきのかがみ、”タイプがバラバラ”って言ってただろ?それでムラコとどのジムか考えてたんだけど、そのコスモバッジを見て”あぁユリシかぁ”と思ってね?」

その言葉にまたかがみの頭に一つの疑問符が打たれた。

「ユリシさんはタイプ固定とかはないんですか?」

「いや・・・一応岩タイプだよ?」

そのムラコの解答にかがみは首を捻らせた。

そして、愕然とした・・・。

(岩ですと・・・?岩タイプってノズパスだけだったんですが・・・他の2匹も岩とは程遠いイメージなんですが・・・あれ?私が間違ってんのか?金銀からその辺の見方とかも変わったとか・・・?)

混乱に陥るかがみをよそにこなたがムラコに実に待ち切れないといった感じで詰め寄った。

「さぁさぁ・・・!!ムラコさん、私とバトルやろうよ!!」

腰かけるムラコの肩をつかみガタガタと震わせジム戦を催促するこなたにムラコは実に落ち着いて話を進めた。

「実はな・・・ここのジム戦はダブルバトルの4VS4のバトルなんだ・・・。」

ムラコの一言に、さっきまで揺れていたムラコの体がピタリと止まった。

そして、周りではかがみが横目で口をあんぐりと開けて呆然と立ち尽くすこなたを気まずそうに見ていた。

かなりジム戦を楽しみにしていたこなたにとってまたもやポケモンの数不足という事実はショック極まりないものだった。

ムラコ衝撃の一言からおよそ3分が経つ。

一同が沈黙を保っていると、今まで体を誰よりも硬直させていたこなたが「よし」と声を張り上げた。

急に大声を出したため周りは目を丸くしてこなたに注目した。

「ど、どうしたのよ?」

「今からポケモンゲットしてくる!!」

かがみの問いにこなたははっきりそう言った。

しかし、時間はもう夜になろうとしている。

今日のレディバ追いかけっこを考えると体力的にはかなりキツイだろう・・・。

「明日にしたら?」

こなたの身を案じかがみがとりあえずソフトに止めに入る。

「いや!!善は急げってね!!」

「それと同時に急がば回れって言葉があるんだけどね?」

そんな会話をしながらもこなたは着々と準備をしていった。

かがみの言葉をまるで耳に入れていないようだ。

「あんた、それでぶっ倒れたらジム戦どころじゃなくなるわよ?」

「こなちゃん無理しない方がいいよ?」

心配の声をかける仲間たちにこなたは「はいはい」と聞き流すと、かがみが止めるや早々にポケモンセンターを飛び出していった。

「行っちゃった・・・。」

「どうする?お姉ちゃん?」

おずおずと姉の顔色をうかがうつかさ。

そんなかがみにはもはやため息しか出ていなかった。



らき☆ぽけ

第7話「ニョロモとゴルダック。プルート団登場!!」



「出てきてムックル!!」

「ムックー!!」

こなたが飛び出してすぐにかがみはポケモンセンターに出て空にムックルを放った。

「ムックル、こなたの後を追って様子を確認してきて!!なんかあったらすぐに私に知らせて!」

「ムクー!!」

ムックルはかがみから一命を受けると、こなたの向かった方へと飛んでいった。

「全くあいつの並いる体力には付き合ってられん!!」

「こなちゃん、大丈夫かなぁ」

心配そうにムックルの飛んでいった方へばかりを見つめるつかさ。

それに対し、ひたすらため息をついてさっさとポケモンセンターに入っていった。

それを見てつかさも慌てて中に入る。

「お友達が心配かい?」

「わざわざムックルを使いに出すくらいだからね?」

戻ってきたかがみを無邪気に茶化す2人のジムリーダー・・・。

「別に・・・あいつが面倒起こしたら私たちにまで火の粉が降りかかってくるから・・・」

「うんうん・・・やっぱり若い子のそういった友情はいいなぁ」

「タカミナ・・・私たちも一応現役バリバリの女子のつもりだが?」

かがみが言い終わるや否や感慨に耽るタカミナとボソッと切なそうに声を潜めて何かを呟くムラコ。

「こなた、北の方に行きましたけど、あそこって何があるんですか?」

「湖だよ!!その底には何かの建造物が建っているんだけど・・・。」



「なんじゃこりゃ!!」

早くも湖にやってきたこなたは声を張り上げた。

声を張り上げたこなたの目の前には大きい湖とその底で月明かりに浮かぶ神殿のような建物・・・。

その光景がこなたの今の冒険心をくすぐった。

「あぁあの神殿にすんごいお宝があるんだろうな・・・。」

ウキウキしながら湖の底を見つめるも、こなたはここに来た本分を忘れてはいない。

湖ということでこなたは偶然といえど炎タイプに相性のいい水ポケモンがたくさんゲットできるはず!!

そう思っていたのも束の間こなたはある事に気づいた。

「釣竿がない・・・!!」

ポケモンの世界で図鑑集めには必須の釣竿がない・・・。

これでは水ポケモンをゲット出来ない・・・。

自分の準備不足を嘆くこなた。

そんなこなたの目の前の水面からブクブクと泡が出てきた。

何事かとその泡を見つめるこなた。

そして、ザバーンとそこから一匹のポケモンが飛びだしてきた。

「ニョロー!!」

「ニョロモ!!」

勢いよく飛び出してきたのはおたまポケモンのニョロモ。

何やら半べそをかきながら地上でジタバタと右往左往と走りまわっている。

そんな電波な行動の意味がこなたはそのすぐ後に知った。

「ゴルゥ!!」

ニョロモとほぼ同じ所から飛び出してきたのはあひるポケモンのゴルダック。

ゴルダックは明らかいじめっ子オーラをムンムンに出しながら半べそのニョロモに詰め寄る。

こなたの後ろに回避するニョロモ。

それを睨みつけるゴルダック。

間に挟まれたこなたは動こうにも動けない。

「あれ?もしかして私って背景・・・?」

そう思うのも無理はない。

ニョロモとゴルダックはこなたを間になにやら言い合いをしていた。

完全に2匹の眼中にこなたは写っていないだろう・・・。

「まぁまぁお二人さん落ち着いて・・・。っていうか喧嘩なら向こうでやってくれ・・・」

「ゴルダー!!」

「・・・るか・・・な?」

こなたの言葉が終わるか終わらないかの内にこなた前方のゴルダックが後方のニョロモに”みずてっぽう”をかました。

頬をかすめ、固まるこなた。

それと同時にゴルダックに怒りがこみ上げてくる。

「もう!危ないじゃん!!当たったらどうすんの!」

怒りを露わにするこなたを完全に無視し、ゴルダックはこなたを軽く飛び越えるとさきほどの”みずてっぽう”をかわしたニョロモを追いかけまわす。

慌てて逃げ惑うニョロモ。

どうやらニョロモの様子から見るとただの喧嘩ではないらしい。

「まさか・・・あのニョロモ苛められてるのかな?」

こなたはそう察しながらしばらくその様子を見守ることにした。

「ニョロー!!」

「ゴルー!!」

容赦なく繰り出されるゴルダックの”みずてっぽう”。

それは少し離れた場所で見守っていたこなたの方にも飛んできた。

「うぉ!!参った参った!!こりゃ、大人しく見てないでさっさと仲裁するか・・・」

そう言いながらこなたはニョロモとゴルダックに近づくとベルトからモンスターボールを取り出した。

「レディバ、頼んだよ!!」

「レディー!!」

勢いよく飛び出してきたのはゲットしたばかりのレディバだ。

「レディバ、ニョロモとゴルダックの間に入って”まもる”!!」

「レディ!」

「ゴル!?」

「ニョ?」

ゴルダックの”みずてっぽう”をレディバが”まもる”で止めたことにより、両者ようやくこなたの存在にきづいた。

「御苦労様レディバ!ちょっとあんたら人の迷惑関係なしに暴れないでくれるかな?」

眉根を寄せるこなたにニョロモはただ怯え、ゴルダックは敵意をむき出しにしている。

「まぁただの喧嘩ってわけじゃ無さそうだけど?ニョロモも反撃したらいいのに・・・。」

こなたの言葉にニョロモは必死に首を振る。

「あぁ臆病さんか・・・。そんなんだからいじめられるんだよ?」

その言葉にニョロモはたちまちへこんでしまった。

こなたはどうしたものかとポリポリと後ろ頭を掻く。

「ゴルダー!!」

先ほどからこなたに対して敵意むき出しのゴルダックは指で後ろの湖を差して何かを伝えようとしている。

その言葉にニョロモは驚き、怯えるがこなたにはなんのこっちゃ分からない。

「ゴルダックかぁ・・・確かエスパー技が使えるんだよね?あのどこか抜けた様な感じのコダックの時より色も性格も爽やかになりましたって感じなのに・・・。」

こなた、ため息一つ・・・。


「ニョロ〜・・・。」

ニョロモは悲しいそうな目をしながら下を向いてしまった。

そんなニョロモを見てこなたはある提案を一つ思いついた。

「よし・・・ニョロモ私にゲットされてみるか?」

「ニョロ?」


そんなこなたの提案にニョロモが驚いてる頃・・・3隻のヘリコプターがアリア湖にまっすぐ向かっていた。

そのヘリの存在に最初に気づいたのはかがみの使いでこなたの様子を見守っていたムックルだった。

アリア湖の近辺上空を飛んでいたムックルはその激しいプロペラ音でつい羽を止めてしまった。

そのヘリはムックルをあっという間に通り過ぎると、アリア湖へと下降していった。



激しい風と共にやってきたそのヘリに驚くと共にこなたは本能的に何かを察し、慌ててニョロモを抱いて草かげに隠れた。

ヘリの機体にはPとLのモノグラム・・・こなた達の世界で言う冥王星の惑星記号に似た様なシンボルマークがデザインされており、中からは暗いブルーのニット帽を目深に被ったスレンダーな女性が出てきた。

彼女の瞳・髪・口元・肌の色・・・その全てから妙な冷たさを感じさせる。

そして、その女性に続いて、頭にヘリのデザインと同じシンボルマークの入った紫色の少し変わった形のメットをかぶった人物が十数人降りてきた。

「なに?あのロックマンみたいなメット被ったやつら?ロケット団とかの派生かな?」

こなたが色々考えを巡らせる中、その謎の集団は何やら湖の周りをうろうろしている。

そして、直にメットの男の一人の声が聞こえてきた。

「ネフェル様!!恐らくこれが大昔に何らかの理由で湖に沈められたとされるアリア遺跡です。」

「ふん・・・そのくらい事前の調べでついてるよ。さっさとブツを盗って引き上げるぞ?マー神殿、ヒメノ炭鉱にいるやつらに後れを取るわけにはいかん!!」

ネフェル・・・そう呼ばれたニット帽の女性は恐らく部下であろうメットの集団に檄を入れる。

そして、メットの集団は次々と水に潜っていった。

その様子を見ながらこなたはこれからどうするかを半ば真剣に考えていた。



そんな頃だった・・・。

ゴートゥシティのポケモンセンターでこなたの帰りを待っていたかがみはタカミナにある質問をされていた。

「ポケモンリーグですか?」

「あぁ・・・せっかくバッジを一つ貰ったんだ?挑戦とかはしないのかい?」

そんなタカミナの言葉にかがみは数秒間を置きながら否定の言葉を示した。

「私は元の世界に戻ることで頭いっぱいなんで・・・こなたやつかさがああやって浮かれてる分私がしっかりしないと!!」

そう言いながらもかがみはタカミナに目を合わそうとしない。

「勿体ない。ポケモンの扱いとか普通に新人とは思えないほど上手かったのに・・・。」

「いつも保護者ですから・・・そういうのにも慣れちゃってんじゃないんですか?」

妙に無愛想のかがみ。

それは自分の心の迷いを誤魔化すための精いっぱいのかがみの抵抗だった。

タカミナと目を合わせないのも・・・

目を合わせてそんなこと聞かれたらかがみには否定する自信がなかった。

それはこなたでも同じこと・・・。

「ふむぅ・・・強情な子だなぁ。」

「そういえばムラコさんは?」

かがみは話をはぐらかす様にさっきから姿の見えないムラコを探すふりをした。

「さぁどっかで酒でも喰らってんじゃないの?」

「え?大丈夫なんですか?明日試合なのに・・・。」

「あぁあいつはこのアーヤスでは一の酒豪だから・・・。いくら度の強い酒を飲んでもその後に好きなワインとかを平気で数本空ける。」

「はぁ・・・」

感心していいのか呆れていいのか・・・。

恐らくかがみの中では後者の方になるのだろうが・・・。

そんな中かがみはポケモンセンターの窓をコンコンと叩く音に気づいた。

「ムックル!!」

窓の方を見るとそこにはかがみが使いに出したムックルがいた。

それを見ると同時にかがみの脳裏にこなたの顔が浮かぶ。

「ムックル、こなたに何かあったの?」

勢いよく窓を開けるかがみに少し驚くムックルだったが、すぐにこなたのいる湖の方を指さし、その動きで事の深刻さをアピールした。

そのただならぬ様子にかがみは底はかとない不安を覚え、すぐに出発の準備を始める。

「どうかしたの?」

尋常じゃないかがみの様子にタカミナが心配そうに声をかける。

「こなたに何かあったらしくて・・・」

「え?本当か?」

タカミナの顔つきが変わると同時にムラコがポケモンセンターに駆け込んできた。

「大変だよ!」

こちらも尋常じゃないご様子・・・。

何かあったのか尋ねるとムラコは息を切らしながら話し始めた。

「アリアの湖に怪しい奴らがなにかやってるらしい!!」

「そこって、こなたが行ったところなんじゃ・・・。」

かがみの顔がますます険しくなる。

かがみはソファですやすやと寝息を立てているつかさに駆け寄った。

「つかさ、起きなさい!!こなたが大変なのよ!!」

「むにゃ?」


「ぐわぁ!!」

湖の調査をしていた一人が声を上げ水面に出てきた。

「どうした?」

「ここの湖に生息するポケモンたちが我々の邪魔を・・・。」

息も絶え絶えの部下の報告を聞くと、ネフェルはチッと軽く舌うちをした。

「しかたない・・・。ギャラドス!!」

そう言いながらネフェルは湖にギャラドスを放った。

すると、ギャラドスの威嚇に恐れをなしたポケモンたちが次々と湖から出てきた。

「これで邪魔は消えた・・・。存分に調べるがいい!!」

「はっ!ご協力感謝いたします!!」

メット集団は一礼すると、再び水の中に潜っていった。

「・・・全く余計な手間を取らせて・・・。」

そう、ぼやきながらネフェルはギャラドスをモンスターボールに戻した。

その時だった。

ネフェルの顔面に”みずてっぽう”が浴びせられたのは・・・。

表情を変えることなく、”みずてっぽう”がきた方角を見るネフェル。

”みずてっぽう”の主・・・それは先ほどのゴルダックだった。

自分の棲みかを荒らされたことで先ほどのニョロモの時よりも険しい顔でネフェルに迫る。

「おぉ・・・あのゴルダック!!」

「ニョ〜・・・。」

草かげから見守っていたこなたとニョロモ。

ニョロモはどこか不安そうにゴルダックを見つめていた。

「ふん。まだ邪魔がいたとは・・・。ジザリガー!!」

ネフェルは立ち向かうゴルダック相手にならずものポケモンのシザリガーを繰り出した。

「シザリガー、”クラブハンマー”!!」

シザリガーは見かけに寄らない素早い動きでゴルダックに詰め寄ると、その自慢のハサミで強力な一撃をかました。

「ゴルァ!!」

「ニョロ!!」

同タイプの技で効果はいま一つであれどレベル差から吹き飛ばされかなりのダメージを受けるゴルダック。

その様子を心配そうに見守るニョロモ。

流石のこなたもそろそろ出どきと感じ、腰を浮かした・・・その時だった!!

こなたより先にゴルダックをかばうように飛び出してきたのはニョロモだった。

「あのニョロモ・・・。」

「ニョロ!!」

「ゴルゥ?」



ニョロモはゴルダックが大好きだった。

昔から自分の兄貴のように面倒を見てくれ、優しいゴルダックを誰よりも慕っていた。

ある日、一人で勝手に出歩きデルビル一匹に襲われていた時も助けてくれた・・・。

しかし、それからだった・・・。

ゴルダックが自分を追いたて回すようになったのは・・・。

ニョロモにはその真意が分からなかった。

分からなかったからこそ、ゴルダックを嫌いになれなかった。

そして、そんなゴルダックが今窮地に陥っている。

ニョロモの体を動かすには十分だった。

「ニョロ!!」

「なんだお前?」

勇敢にゴルダックをかばうニョロモをネフェルは呆れた表情で見ていた。

「ふん、この雑魚が・・・!!シザリガー、”バブルこうせん”!!」

「シーザッ!!」

「ニョー!!」

シザリガーの”バブルこうせん”が容赦なくニョロモを襲う・・・。

しかし、ニョロモには全く効いてない。

「くっ”ちょすい”か!!」

少しの苛立ちを見せながらネフェルは更にシザリガーに指示を出す。

「”つじぎり”!!」

「シーズ!!」

黒く光ったそのハサミでニョロモを攻撃する。

ニョロモは避けきれずにまともにその攻撃を喰らってしまう。

「ニョロ〜!」

倒れるもニョロモはまだ動けるようでなんとか立ち上がろうとした。

「とどめだ、シザリガー!!」

「ちょっと待ったぁ!!」

ネフェルがシザリガーに指示を出そうとした瞬間・・・かかったのは待ったの声。

声を上げたのはもちろんこなただった。

先ほどから連発で入る邪魔にネフェルのイライラゲージは溜まる。

「これ以上、あんたらの好きにはさせないぜ!!いけっカモネギ!!」

「クァモ!!」

「カモネギ、”つばめがえし”!!」

飛び出して速攻でシザリガーの迫るカモネギ。

「”クラブハンマー”!!」

「シザ・・・シーサズ!!」

カモネギの”つばめがえし”を喰らうも”クラブハンマー”でカモネギを吹き飛ばした。

カモネギはトレーナーのこなたにまでぶつかり、その勢いでこなたごと後ろの木に激突した。

「いったーい!!」

「カモ〜・・・。」

「・・・ん?」

木に激突したこなたは幸い頭は打っていないようではあったが腰や腕を打ちつけたらしく必死にさすっていた。

そんな様子を見ていたネフェルがあることに気付く。

しかし、それも部下の報告で一瞬の内に吹き飛んだ。

「ネフェル様・・・真にお聞かせぐるしいのですが・・・」

「ん?なんだ?」

明らか苛立った声が目立つ。

それに少々怯えながらとりあえず報告を全うする。

「ちっ・・・マー神殿・・・当たりはそっちか!!」

本日何度目になるか分からない舌うちをすると、シザリガーを戻し、こなたたちに背を向けた。

「私はもう帰る!!お前たちは後始末をしてから引き揚げろ!!」

「はっ!!」

かなりご機嫌ななめのネフェルはそう言うとヘリコプターに乗り込んだ。

「あ、待て!!」

こなたの言葉を待たずしてネフェルを乗せたヘリコプターはどこかへ飛んでいった。

悔しそうにヘリを見送るこなた。

そして、ニョロモとゴルダックに目をやる。

ニョロモは恐る恐るゴルダックに声をかけ気遣う。

ゴルダックは視線を合わさずともその声に反応する。

「お二人さん・・・ちょっと悪いんだけどさぁ・・・」

こなたが少し困ったような声でニョロモ達に声をかけた。

「こいつら何とかするの手伝わない?」

見ると、ネフェルから後始末を任された数人の部下たちが後始末のためこなたたちを睨みつけている。

どうやら、あと始末は邪魔者の排除という意もあったらしい。

というかその意しかないだろう・・・・。

「ゴル・・・!!」

「ニョ!!」

さっきとは違い勇敢にメット集団に立ち向かうニョロモをゴルダックがどこか嬉しそうに笑った。

その様子に気づいたこなたはようやくこのニョロモとゴルダックの事情をあらかた察することができた。

「じゃ、行くよ?ヒコザル!!」

「ヒコーッ!!」

こなたはヒコザルを出すと完全な戦闘態勢をとった。

それに合わせて相手のメット集団もニューラ、ゴルバット、ヤミカラス、マグマッグなどのポケモンたちを出してくる。

「よし、こなた軍突撃〜!!」

「ヒコーッ!!」

「ニョロ!!」

「ゴルー!!」

ゴルダックがヤミカラス、ニョロモがマグマッグ、ヒコザルがゴルバット相手に奮闘する。

戦闘盛り上がるなか、こなたの的確な指示がメット集団を押す。

そんな最中、指示出すこなたの後ろをニューラがとった!!

自慢の長い爪を光らせ、こなたに襲いかかる。

こなたはニューラが飛びかかると同時にそれに気づき、構えをとるが既に遅かった・・・。

突然真横から飛んできた緑色の刃でニューラは攻撃され、倒れた。

キョトンとするこなた。

刃が飛んできた方向に目をやるとそこには肩で息をしながら駆けつけてきたかがみとつかさ。

そしてチコリータだった。

さっきの攻撃は”はっぱカッター”だろう。

「おっす!かがみ!!」

「おっすじゃないわよ!!何事なのよ?」

とりあえずこなたの無事な姿を見てホッとしながらも状況の説明を求めた。

「ん?実は・・・。」

ヒコザルに指示を出しながらこなたはかがみたちに状況を説明した。

「なるほど・・・。全く今日のヒゲ男といいこの辺はこんな奴らが多いのかしら?」

そういうかがみの表情には明らかに怒りが込められていた

「あ、こなちゃん怪我してるよ。」

つかさがこなたの右肩の服が赤く滲んでいるのに気づいた。

よく見ると、至るところを打ちつけたり切った跡が見られる。

恐らくはさっきカモネギと吹っ飛んだ時に木にぶつかった為に出来た傷だろう・・・。

それを確認するやかがみはメット集団をキッと睨みつけた。

「よくも私の大事なこなたを傷ものにしてくれたわね・・・許さない!!月にかわって・・・・」

「っておいこら勝手に私の真似して後ろから喋んな!!しかも似てねぇ!!」

かがみの今の姿勢に合わせてアフレコ挑戦したこなたをかがみ拳を作ってやめさせた。

かがみは台詞とかよりも全くといっていいほど似ていないこなたのモノマネがお気に召さなかったのだろう。

「メンゴメンゴ・・・!!ささっかがみ様続きをどうぞ!」

「やかましい!!」

こなたとかがみがそんなコントを繰り広げている間にメット団のポケモンたちをニョロモとゴルダック達が蹴散らしていく。

「くっ・・・ならば奥の手だ!!ゆけっウツボット!!」

「ウボー!!」

メットの一人が草ポケモンのウツボットを繰り出した。

「甘いね?こっちにはヒコザルがいるんだよ?”かえんぐるま”!!」

「”ねむりごな”!!」

ウツボットの口から放たれた粉をヒコザルは諸に浴び、そのまま眠ってしまった。

「む・・・戻れヒコザル!!」

眠ってしまったヒコザルを仕方なく戻すこなた。

それを確認するとウツボットはエネルギーを溜め始めた。

”ソーラービーム”だ・・・!!

「つかさ、ヒトカゲ!!」

かがみがほのおタイプを持っているつかさにヒトカゲを出すように言う。

「あ・・・カゲちゃんたちポケモンセンター置いてきた。」

「全くこの子は・・・!!」

わが妹ながらの情けなさにため息の他に色々なものが抜けていく。

そして、エネルギー充填が完了し”ソーラービーム”が放たれようとしたその時だった。

不意にウツボットの体が持ち上がった。

そして、そのまま砲口である口はメット集団に強制的に向けられた。

「ゴルダックの”サイコキネシス”だ!!」

ゴルダックの額の赤い宝石から放たれる念力がウツボットの自由を奪っていた。

そして・・・”ソーラービーム”発射!!

”ソーラービーム”をまともに受け、メット集団のポケモンの大部分が戦闘不能と化していた。

「くっ・・・このまま黙ってやられる訳には・・・」

その時だった。

「あんたら、この湖で何やってんの!!この辺で悪さやる輩にはこの爆炎暴走族のムラコが許さないよ!!」

「コーン!!」

かがみたちに遅れてやってきたムラコがロコンを引連れて怒りをむき出しにしてやってきた。

こなた達には暴走族というフレーズが妙に引っかかったが、なぜかすんなりと受け入れることが出来た。

「小癪な・・・」

「待て・・・!!」

歯向かおうとするメット男にもう一人のメット男が止めに入る。

「相手が悪い・・・!!ゴートゥシティのムラコだ!」

その名を聞くと、歯向かおうとしていた団員が顔を青くして、体を退かせた。

「撤退だ撤退!!」

一人のメットの声で次々とヘリコプターに乗り込むメット員たち。

そして、あっという間にヘリは空の彼方へと飛び去っていった。

「行っちゃった・・・。」

こなた達はヘリを見送ると、疲れたように地面に腰をついた。

「いやー動いたぁ・・・。」

「ムラコさんありがとうございます!!」

「なーに・・・。こちらこそ!!」

そう礼を言いながらバテバテで地面に寝転がるこなたを見た。

本当に礼を言わねばならないのは彼女・・・。

ムラコはそう思った。

そんなバテバテこなたに寄って来たのはニョロモだった。

「ニョロ〜・・・。」

「おぉ、ニョロモ!さっきはかっこよかったよ?お姉さん惚れ直しちゃったよ!!」

そう言いながらこなたはニョロモの頭を優しく撫でてやった。

「お姉さんってガラでもないだろ?身長も・・・!!」

最後のアクセントが少し笑いが含まれていたのをこなたは聞き逃さなかった。

少し反論すると、また視線をニョロモに戻し、そしてゴルダックに移した。

「お兄さん?この子私に預けてみない?」

「ゴル?」

「ニョロ?」

「は?」

意味が分からなかったのはゴルダックではなくニョロモとかがみたち。

ゴルダックは少しは戸惑ったが黙ってコクリと頷いた。

ゴルダックはニョロモが好きだった。

いつも甘えてくるニョロモを本当に実の弟のように可愛がっていた。

しかし、自分とは相性のいいデルビル一匹に怯えていたニョロモを見てその考えが変わった。

このままではニョロモの為にならない・・・。

一度ニョロモと距離を置き、ニョロモ自身を強くする必要がある・・・。

ゴルダックはそう思った。

だから寄ってくるニョロモを泣く泣く攻撃した。

”みずてっぽう”を放ったのはただの威嚇・・・。

当たったところで”ちょすい”のニョロモにはなんの関係もない・・・。

なのに逃げ惑い、おびえるニョロモに次第に苛立ちさえも感じていた・・・。

ゴルダックは思った。

これを機に旅に出すのも悪くない。

この湖を守るため・・・ニョロモにはもっと強くなってもらいたい。

ゴルダックは心の底からそう思ったのだ。

「ゴルゴル・・・ゴルダー!!」

「ニョロニョロ・・・ニョロ!!」

ゴルダックとニョロモは話し合った。

渋るニョロモにゴルダックは必死に説得した。

そして約束させた。

「ゴルゴ・・・ゴルダーク!!」

今度自分の前に姿を現したときはお前がこの湖の長だ・・・。

だからもっともっと強くなって帰って来い・・・と

最初は不安がっていたニョロモだったが・・・ゴルダックがそこまで自分に期待を賭けてくれるのが嬉しかったのか後ろを向きこなたに歩み寄った。

「どう?私と一緒に強くならない?」

「ニョロ!!」

ニョロモはお腹に力を込め強くそう言うと、こなたの出したモンスターボールへと入っていった。

「よし・・・ニョロモ、ゲットだぜ!!」

ニョロモの入ったモンスターボールを掲げ声高々にこなたは言った。

周りからは祝福の拍手が成された。

「おめでとうこなちゃん!!」

「なんか悪徳セールスみたいな勧誘だったけど・・・あんたニョロモにそこまでさせたんだからちゃんと責任持ちなさいよ?」

「分かってるよ!!任せてゴルダック!!一人前のニョロモにしてくるよ!!」

そう言いながらこなたはゴルダックに親指を立てた。

「ゴル・・・。」

ゴルダックは静かに頷くと湖へと入っていった。

「よし・・・ムラコさん・・・!!」

「あぁ・・・・分かってるよ!!明日の朝、早速勝負だ!!」

ムラコの言葉を聞きますますテンションの上がっていくこなた。

「テンションあがるのは勝手だがちゃんと寝ろよ?」

アリア湖を無事守ったこなたはニョロモをゲットすることができた。

さぁ次はこなた最初のジム戦・・・ゴートゥジムでの戦いが待っている!!

続く。
あとがき


どもぽちゃです。

自分で言うのもなんだが中身が入ってない気が・・・orz

ニョロモゲットの口実はちょっと無理があったけど勘弁願います。

もう少しサトシみたいな熱いゲットとかさせたいとか思います。

こういうところも真面目に考えるようにします。

書きながら学ぶことが沢山ですww

今回出てきたプルート団ですがこのメンバーの名前はアニメ、特撮などの悪役から名前を取ろうと思ってます。

だからプルートです。

決してセーラーの方ではないです。

ちなみにネフェルはHUNTER×HUNTERからきました。

個人的に一番好きな悪役です。

というか悪役という言葉が似合わないね?

ピトーとゴンの戦いどうなることやら・・・

まぁこのらき☆ぽけのネフェルはそのモデルさんの方とは全く違う性格ですが・・・

舌うちの人と覚えてくれたらいいですww

じゃ、また!!